2012年5月29日火曜日

肥満のお話 その2:糖尿病と日本人


さて、肥満のお話その1:ナウル島の悲劇では読者の皆さんも”ふむ〜”と眉間にしわを寄せて世界の肥満危機を感じたはずです。

その肥満が起因の一つである糖尿病。
実は先週、パシフィコ横浜で第55回日本糖尿病学会年次学術総会が開催されたところでした!http://www2.convention.co.jp/55jds/top.html
全国から13,000名を超える方が参加する大規模な学術総会です。

下の写真をご覧ください。
ん?大会要旨と一緒に写っているのはTFTのパンフレット!
なんと、今回は学会事務局様の計らいでコングレスバック(学会で配られるバッグ一式)の中にTFTの紹介パンフレットを入れていただきました。


糖尿病の学術総会でたくさんの医療従事者の先生の目に触れたことが大変うれしいですね。
本当にありがとうございました。

さて、その糖尿病ですが、”血液に含まれる糖分(血糖)が多くなる病気”で、血糖が高い状態が続くと血管に障害が出やすくなり、これが後に記述する合併症へとつながっていきます。

糖尿病には、血糖値の調節に働く”インスリン”という物質が大きく関係してきます。
このインスリンが十分に供給されない、不足してしまう「Ⅰ型」の方と、肥満やその他生活習慣病が原因でインスリンの効きが悪くなったり行き渡らなかったりする「Ⅱ型」と大きく分けると二つに分けて考えられます。
(詳しく説明するともっと細かく難しくなるので、このblogではここまでの記述としておきますね)


我が国の患者数は
現在約890万人となり、予備群を合わせて約2,210万人と推定されています。予備軍を入れると約6人に1人?!

「糖尿病なんです〜」なんていうと、「私も!私もです〜」なんて…

いわゆる、「あっちもそっちも糖尿病」状態なんです。
うー、これは危険。

糖尿病の危険なところは、初期の状態ではいたくもかゆくもないところ…
だからこそ、管理をおこたると進行するのが合併症です。
毛細血管が詰まる事により目が失明し、足の壊疽(えそ)などの神経障害、はたまた、動脈硬化で心筋梗塞•脳卒中、、腎臓も悪くし、透析へ…

これだけみるとなんだか脅しみたいですね(汗)

でも、これが現実なんです。
腎臓の人工透析にかかる医療費も国費を圧迫する大変なものです。

肥満は糖尿病のリスクの一つ。
また、太っていなくとも、健康診断の数値には敏感にいてもらいたいものです。
「糖尿の気がある、血糖値が高めだね」と言われた方はよーく心に留めて
明日から食事と運動を見直して血糖管理をしてみましょうね。

【管理栄養士 大野尚子】

2012年5月23日水曜日

肥満のお話 その1:ナウル島の悲劇

さて、今日から数回に分けて”肥満”についてのお話をしていこうと思います。

昨年実はTFT事務局で全6回シリーズでその名も肥満問題白熱教室! (サンデル先生ブームの時でしたからね♪) なんていって皆でわいわい、授業の後はヘルシーメニューのお楽しみ付きで学習会を開催していたのでした。

その第一回で取り上げたのが世界の肥満ですよね〜。

資料)社会実情データ図録(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/)


OECD加盟諸国で肥満度が1位なのはもちろんアメリカですね。約30%が肥満です。
さらっと言いましたが、30%、約3人に1人です。
世界的には一般に、BMI が 25.0 以上を過体重 (overweight) 、30.0 以上を肥満 (obesity) (※この図で肥満とカウントされる人たち)としていますが、日本では25.0 以上を肥満としています(世界より厳しいのですね〜ふむふむ)ので一概に比べられないです。25.0 以上とすると日本の肥満も20%以上ですからふーん3%か〜などと言っていられませんよ。WHOと日本では何故基準が違うのかはまた次回お話しましょう。

そしてここからがあの”ナウル島”のお話。
OECD加盟国以外ではの71%が肥満の国があるとか。それがナウル共和国。

いや、すごいんですよ、このグラフを見たときTFT代表の小暮さんはじめ、事務局の皆の口がポカンとなったのを覚えています。70%かよ〜!!と。

資料)社会実情データ図録(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/)

ナウルは質の高い化学肥料となるリン鉱石がとれるようになり欧米諸国にそれを輸出することになります。1968年の独立後、1970年代から80年代にかけて、ナウルは1人当たりのGDPが世界でもトップクラスの「富裕国」になりました。国は、鉱山使用権による巨額の収益を、土地の区分所有者になった国民に分配し、人々は働く必要がなくなった。=働かなくとも食料を手に入れ、好きな物を食べられるようになってしまった…のですね。。。。


でも今は悲しい事にリン鉱石がとれなくなり、GDPも落ち込み経済破綻を迎え、残ったのは肥満と糖尿病……
肥満は経済成長と大きく関係している事を示す一つのお話です。

ナウル島の家の壁にはこんな言葉が書かれているそうです。
Let's work  the talk ,Promote physical activity, Out smart Diabetes to live longer & healthier.

私からも肥満が減って糖尿病になる人が1人でも減る事を願います。できれば、一度訪問したいです。

【管理栄養士 大野尚子】

2012年5月16日水曜日

お弁当には魔法のひとことを添えて

お子さんやご主人へのお弁当。
新年度になって、”毎朝つくることになったのよ〜”という方もおおいのでは??



最近はキャラ弁もすごいですよね…あっぱれ。
これ一個つくるのに何分くらいかかるのでしょう。


こちらはとある日の私のお弁当。。

前日の夜におかずを詰めてしまうというtheお残り弁当(笑)
御飯は朝の炊きたてを詰めて出かけるまで冷まします


そんなお母さん、あるいはお父さんが一生懸命作ったお弁当ですが
もしかすると全部食べきってかえったきたことがないのよね…ということはありませんでしょうか?


特に新入園児の子供はこの時期”保育園、幼稚園に慣れる事”が優先してしまい
お弁当の時間を楽しむ余裕がないかもしれません。


また、家庭とは異なる”環境”、”食べるスピード”についていけないというお子様もいるかもしれませんよ。
決してお弁当の内容のせいだけではないと思います。


そのような時に毎朝のお弁当をかばんに入れるときの+αとしてお弁当が楽しみになる”魔法の一言”がよりお弁当へのワクワク感を高めるようです。




「今日のお弁当は、秘密だよ。開けてのお楽しみ!」
「今日は、あなたの大好きな○○を入れておいたからね」



などなど。




お弁当への好奇心を高めて、お昼時間が楽しみだな〜と思ってもらえるような
あなたの魔法の一言をぜひ使ってみてくださいね。


【管理栄養士 大野尚子】

2012年5月10日木曜日

時間栄養学のおはなし



おはようございます!
昨日、時間遺伝子の話がTVで特集されていたそうなので今日は時間栄養学の話をしてみますね。

時計遺伝子って?

 生き物はそれぞれのリズムを持っていきていて、そのリズムの基本を作っているのが時計遺伝子です。ヒトの時計遺伝子は約25時間の概日リズムを作っています。この遺伝子、細胞の一つ一つに組み込まれているのだとか!

時計遺伝子のカギは朝日と朝食!

 気がつけば夜更かし生活に突入!なんてことも少なくありませんが、実は先にお話した概日リズム、ほおっておくと時間と生体のリズムが夜更かしのほうにずれていくそうです。これをリセットするには脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)にある主時計遺伝子と内臓にある末梢時計遺伝子の時計の針を正さなければいけないのだとか。そこで出てくるのが朝日と朝食!朝日は主時計の針をリセットし、朝食は末梢時計の針をリセットしてくれるのだそうです。朝食、めっちゃ重要ですよ〜。

朝食抜きは肥満を招く?

 末梢時計のリセットをしてくれる朝食ですが、最近はあまり食べない人が多いですね。そんなあなたはご用心。朝食を食べないとエネルギーを節約して脂肪の合成を促すように働きます。1日に摂るカロリーは少ないけれども太ってしまうという…
最近は大人だけではなく、子供の朝食の欠食も問題になっています。特に今の20〜30代で朝ご飯を食べない人は中学生くらいから朝ご飯を食べない習慣が身に付いてしまっているというデータも。子供のころから朝ご飯の習慣をちゃんと身につけておきたいですね。

カロリーだけじゃない!食べ方スキルと時間栄養学

 TFTの栄養チームでもヘルシーメニューと同時に大切にしているのが「食べ方スキル」。何を、どう、いつ食べるか?ということをセットに考えています。

「ついつい食べ過ぎてしまうのですが、どうしたらよいですか?」こんな質問をよく聞きますが、そういう方はだいたい、食事と食事の時間がすごく空いていたり、1日2食や1食ということも。あとは「空腹が怖いです〜(汗)」なんてこともあります。

朝、昼、夕の食事を起床後12時間以内に(3:3:4)の割合でとるようにするのが理想的な食卓。キーワードは12時間。これは体のリズムにもとってもやさしいことなのです。ただ、お仕事をしていたりすると、規則正しい時間にというのがちょっぴり難しいのかもしれません。さらに食事を手作りで、と考えるとハードルは高くなり。。。
そんなに自分を追いつめる必要はありません。お惣菜や外食を利用しながら、まずは規則正しい食事を目指すこともできます。

時間栄養学を頭の片隅において、3回の食事を意識してみてくださいね〜♪

【管理栄養士 大野尚子】

2012年5月2日水曜日

一粒の小麦を考えてみる

GWも中盤、皆様いかがお過ごしでしょうか?

私は前半の連休はお天気のよいうちに!と山に行ったり海に行ったりと旬の食材探訪をして過ごしておりました。(今日なんて朝掘りのたけのこをリュックにつめて電車にのりました…)

そんなおいしい食材を手に入れて今夜の献立は何にしようかな?と思ったとき、
大きく分けて和風、洋風、中華。
主食でいうと、お米、麺、パン?!なんてことを皆様考えるのではないでしょうか。
(そういえば先日献立力なんてのをTVでやっていてちょっとおもしろかったです。昨年のFORTWODAYでお話した”食材を無駄にしない献立の立て方”とかをここでお話するのもよいですね。それはまた今度)

今日は先日お気に入りのパン屋さんで石臼(全自動。エジプト人もびっくり。)を見ながら考えたことを書きたいと思います。

私達日本人の大半ははおいしいお米を求めて○○産!とは考えるけれど、
小麦のことを意識している人はごくわずかではないでしょうか。

グルグルグルグル…ちなみにこの小麦はフランス産。
側の袋で北海道のはるゆたかも確認。

さらに思ったのは、小麦粉は小麦粒をすりつぶしたものという認識を持ち
その小麦粒をちゃんと目で確認した事のあるひとは果たしてどのくらいなのだろう?!ということ。(さらに先をいえばお米と同じように穂になるということも…)

こちらが小麦粒。石臼の周りには白い”小麦粉”が。
たとえば、子供達はパンが小麦粒をひいた小麦粉からできるということを
ちゃんと認識しているのでしょうか。

”鮭は切り身で泳いでる?!”ではないですが、
それに近い認識(例えば、小麦の穂の粒の中に粉が入っているetc…)をもっているのではないか?!ということです。
お子さんがいる方はぜひ聞いてみてあげてください。

日本人の年間小麦の消費量は約610万トン。
(国民一人あたりにして31kg。うどん県の人はもっと多いはず?!)その消費量の85%を海外からの輸入に頼り、国産はわずが15%です。

お米は残さないようにね!という言葉を聞きますが、
小麦も同じ。適量がありますよ?
パンに限らずラーメン、うどんに、パスタ、、ついつい食べ過ぎてしまう大盛り・食べ放題の王道食材。




子供達には小麦粉が単なる魔法の粉ではないことを、給食でパンやうどんを食べる頃までにはぜひ伝えてあげたいな〜と、静かに回る石臼を見て感じたのでした。

小麦のこと全然知らなかったよ〜(汗)という大人の皆さんもお子様も
この機会に勉強してみたい方はこちらがオススメですよ。
日清製粉:小麦粉百科
http://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/index.html


【管理栄養士 もっきー】

2012年5月1日火曜日

駅ナカコンビニ NEWDAYS報告


駅ナカ コンビニ NEWDAYS発のTABLE FOR TWOキャンペーン、
「カラダにいいことx ココロにいいこと」。
盛り上がる店頭の様子を、本ブログでもご紹介いたしました。

ことし2012年で、第三弾となるこのキャンペーンは、

ヘルシーなおにぎりやパン、サンドイッチ、ドリンク類を始めとした、
69種類に上るTFT対象商品価格から3%という仕組みで取り組み、
集まった寄付額は、8,305,932円でした。 


お陰様で過去2回の記録を抜き去る成功となりました。

すでに店頭のレジモニターでも報告されていますが、
締めくくりとして記事をお送りします。

第四弾に恵まれたら、「美味しい」「嬉しい」に加えて、
何か「楽しい!」要素にもチャレンジしたいですね!

 「駅ナカであなたと世界を健康に。」
NEWDAYS x TFTのキャンペーン報告です。




番長